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小説『あの日見た群青は。』其の十八 |
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蕾 |
8/25 21:51 |
コツ、コツ、、
三角やら四角やら大小様々な形の木が上へ上へと積み上げられていく。やがて小さな塔のような物体がそこに現れる。重厚感、と表現するには程遠いようなチープな物ではあるが、それでもこうして形にすれば中々格好がつくものである。
その前に立って得意気な笑みを浮かべる少女が一人。少女とはいってもまだ5歳位だろう、自信作と言わんばかりの表情である。
と、そこに。
ドタドタドタ。追いかけっこでもしているのだろう、随分と大きな足音を薄っぺらい床に響かせて子供たちが走ってきた。塔の横を全速力で通り過ぎて行く。
カシャン。
塔の頂上部分が崩れた。その振動で土台部分もズレが生じている。少女はさっきの集団に向かってなにか叫ぼうとする、がそこから声が発せられる事は無かった。唇を噛みしめ、自信作だったモノを足で蹴り飛ばした。