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[ss]ヒット。(12) |
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入江 |
12/10 10:54 |
続く沈黙。
破ったのは私だ。
「エカテリーナさん、訊きたいことが。 いいですか?」
エカテリーナさんは食事する手を止め、ナプキンで口元を拭って、グラスに入ったワインを一口飲んだ。
「リーナでいいよ。 で?」
「いくつか質問があります、ここはどこですか?」
「ここは私の家だよ、ミライはそこの窓を見たかい?」
促され窓を見たが、やはり絵が埋め込まれているだけだ。
落葉が舞い落ちている。秋だろうか。
「絵...。 ですよね、でもなぜ絵が?」
「話すと長くなるし、また今度ね」
話をはぐらかされた気がするが、話題を変える。
「リーナさんは、なぜ私を家に?」
私は子供。足手まといになるのは目に見えている。
一瞬遠い目をしたリーナさんは、重い口を開いた。
「......気分だよ、気分。」
それからは、また沈黙が下りた。