外へ出ると、漆黒の空に皇后と光る月が近くの湖に反射して紅の如く光っていた。
フランは、日傘を投げつけてきたところはちゃっかりしている。
1人で開け、頭上に翻す。
ーーもう、隣にはいない
分かっていた。
理解していたつもりだった。
でも。
やっぱり。
大切なものは、なくなってから気付くのだ。
紅い月が潤み、いつしか見えなくなる。
『咲夜の禁忌の呪縛が、解かれた』
久々に顔を見たと思ったら、そんなことを巫女は口走った。
もう、本当に死んだのだ。
「お嬢様」
いくら私たちを縛ろうと。
いくらこの体を蝕もうと
私たちが
「ーーーーレミリアお嬢様」
傘を持っていた手が、軽くなった。