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[連載小説]ヒット。(20) |
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入江 |
12/13 15:44 |
「カリスト。 ネピアの装甲は?」
若い男がリーナさんに問う。
「いつものビルの中に装甲車が停めてある。その上にネピアの胸部鋼鉄と背部可動軟鉄、その他の装甲がまとめてくくりつけてあるから、回収しておいてくれ」
「...あいよ、報酬はいつもの所に振り込んである。 確認しとけ」
男は渋々といった感じで、二人のツレを連れて壁の向こう側に消えていった。
「...?」
周りの人間から奇異の眼差しを向けられているような気がする。よく見るとリーナさんにも視線は集まっていてるが、当の本人はさして気にしていないようだ。
「ミライ」
いつの間にかリーナさんは検問所の出口に居た。私は出口に向かって小走りで走る。
検問所を抜けた先は、スラムと言うには賑やかで明るい場所だった。なかでも通りには様々な屋台が出店していて、多くの人が行き交っている。
魚や肉、缶詰などを売る屋台もあれば、ギターやバラライカ、写真やカメラなどを売る店もある。
気になってはいたが、どんどん先に進むリーナさんについていくのが精一杯で、全く見れなかった。