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[連載小説]ヒット。(31) |
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入江 |
12/17 21:45 |
「何が言いたいかというと、その未知のブラックボックスを他国へ渡すってのが、にわかに信じられないのよ。今まで最高機密だった情報を『これあげるから協力しよー』っていう条件だけで渡す、ってのが引っかかっててね? まぁ、この新型術式の公表が本当にブラーク殲滅の為だとして、そのモデル都市として名乗り出たのがここ、ロシアだったの。 ロシアは広大な国土を取り戻す為の強力な戦力を欲していた。対して日本はモデル都市を見つけるのが望みだった。つまりロシアは日本とwin-wimの関係を築こうとしたのね...」
一度切った会話をリーナが紡ぐ。
「だけど、モデルとなるはずだったロシアが陥落した...?」
「そゆこと」
つまり、モスクワ陥落に日本が関わっている可能性がある、と。
「私の憶測からすると、っていう条件つきだけどね?」
真相を知る人間がこの国にいるとしたら、それはモスクワだろうか。
「で、どうするの?」
アリスが問う。その目には光が宿っている。
「せっかくだし会いに行ってみようか。アリスも最近は暇なんでしょ?」