とある田舎のとある神社には、幽霊がいる という噂がある。
「ふぅ……この神社だけは夏を忘れさせてく れるよなぁ……」
生い茂る木に囲まれた稲荷大社。もう日 が暮れる頃であり、人一人いない。風の音 と木々が揺れる音だけが鳴り響いていた。
「……あ、また落書きしてるよ。まったく、 毎回消すのも苦労するってのに……」
その落書きは境内へ続く階段の灯篭に描 いてあった。描いてる人は何を思ってここ に変な文字を書いたり、奇怪的な絵を描い たりするのだろうか。少しは消してる人の 身にもなってもらいたいものだ。
「あ! ゴミも捨てていってる……」
ちらほらとお菓子のゴミやペットボトル が落ちている。正直いけすかない。ゴミは ゴミ箱に捨てろ、このようなものは小学生 でもわかる。ここにゴミを捨てている奴 は、おそらく大きな不幸が訪れることだろ う。
「こんな良いとこ、ゴミだらけだったらか わいそうだろ?」
独り言をぶつぶつ言いながらゴミを拾い 上げていると、どこからともなく「リンリ ン」と鈴の音が聞こえてきた。
続くのじゃ!