小さなメイド服に着替えた少女は、いかにもそれっぽくなった。
後ろに白くて大きめのリボン。フリルが袖やスカートの淵に縫い付けられており、本人も大分気に入っている様子。
「私、ここのメイドとして頑張ります!!」
にっこりスマイルで虜にさせる。
ひらりと一回転した姿は未来のその子を映し出し、幻覚として消えた。
吸血鬼は、驚くほど寿命が長い。
人間をも軽々と超え、最期は計り知れない年月になる。
その個性が痣となり、この少女に呪いがかけられた。
決して許してはいけない、禁忌の呪い。
それが吸血鬼であろうと膨大な霊感を持っていようと、解けない、永遠の鎖であった。
「じゃ、私、咲夜さんを案内してきます!!!」
メーリンが叫ぶと、少女は耳を塞いで連れられる。
立場が逆転するのもそう遠くはないであろう。
そのままの意味を込めて。
隣では、フランが塗り絵に没頭している。
さっき少女に褒められたことを調子に乗り、また喜ばせたいのだろう。