父の部屋で本を読む。
それが日課となったのは14歳の時。
妹の目に光が消えたのはもっと前。
何も出来ない僕に助けを求める妹になんと声をかければ良いのかわからなかった。
だがある日。
「お兄ちゃん、これなぁに?」
「ん?あぁ…学校の授業で作ったんだ」
「変なのー、えへへ、でも、面白くて私これ好き。」
妹が笑った。
嬉しくて嬉しくて。本を置き妹を抱き締めた。
ふと父親を思い出す。
6歳だった僕を強く抱き締めた父を思い出し泣いた。
いつまで、僕や妹はこんな生活をしなくてはいけないのだろう。
いつかきっと、この生活から解放されることを願い兄妹は泣いた。