映画の内容は恋愛映画だったが、レイカが気になるところは映画ではなかった。

(...ブラックマンバも恋愛映画観るんだ...いや、試しにってパターンかも...?)

全く映画に集中できないレイカは、隣の座席に視線を奪われていた。

(わっ、瞳孔開いた...やっぱり結構見慣れないのかな...)

ブラックマンバの視線はスクリーンに吸い込まれていて、かなり顕著に反応を見せている。

目を細めたり、逆に見開いたり...レイカにとっては映画よりも面白いもののようだ。

{...愛してる}

{...ん、何か言ったか?}

{...ちゃんと聴いてて!愛してるって言ったの!}

(...この人、もしかしてブラックマンバに似てるだけの人なのかな...)

あまりにも脳内の情報との一致のしなさに、本人かも疑い始めてしまった。

そんな疑問を抱き始めた頃に映画は山場を迎え、そしてエンドロールに入った。

(...エンドロールも観るんだ...)