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表も裏も紙一重 #42 |
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ゴキラ |
3/15 22:26 |
雷鳴激震の元で労働を強要されていた海月と百合は、お互い自分の事を話しながら手を進めていた。
[...海月さん、さっきはごめんなさい]
[気にしないで、私がカッとなっちゃっただけだから]
PCに今までまとめてきたバイオミミクリー技術を表示しながら、機械構造を含めた設計図を紙に書き起こす。
[私には彼氏がいたの]
[私もいますよ!...って、過去形...?]
紙が浮き上がるほど深く息を吐いた後、海月はこう続けた。
[ええ、いたんだけど浮気しちゃってて...]
[あら...]
[知った時はもう我を忘れて暴れちゃって...それを見かねた彼が自殺しちゃって、それでやっと我に帰ったの]
想像以上に暗い話をされた百合は、返す言葉が見つからなかった。
[...その時に心を削り取られた気持ちになって、一人の命は本人だけのものじゃないって感じたの]
[...ほんとにごめんなさい]
海月はすっかり気分を落とした百合の方に首を向けて、笑いかけてみせた。
[いいってば...]