海月の無線は、街が寝静まった頃に警察無線に届き、巡回中のパトカーに流れた無線のアーカイブを、警視庁の一室で脅威迎撃対策課長を始めとした雷鳴激震との問題と戦う警察の上層が聴いていた。

＜...とにかく、最大限の備えをしてください。機動隊をできる限り戦える状態にしてください。>

[...榊さん、この要求を飲むべきかと思いますか?]

テロ対策本部長の金本 岳志(カネモト タケシ)が、脅威迎撃対策課長の榊に問う。

[呑むべきでしょう。罠である可能性も考えにくいでしょう]

[では、機動隊特殊作戦本部に待機している12の機動隊を全員出動させる方針で動きましょう]

そう語る金本に、榊が手のひらを前に突き出して待ったをかけた。

[12もの機動隊を動かすには少し手間がかかる。せっかくいい数なのだから、いくつかのグループにまとめて動かしましょう]

とっさに出された榊の意見に、異議を唱える者は現れなかった。

[...満場一致ということでよろしいなら、一刻も早く機動隊を招集し、計画を説明せねばならない。これよりこの計画を、“トライデントフォース計画”と呼称する。]