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表も裏も紙一重 #64 |
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ゴキラ |
5/8 18:15 |
まだ空も青い昼下りに、裏路地で睨み合うブラックマンバとフラン。
動きを止めてしまうほどの張り詰めた空気の中、フランは話を始めた。
[私があなたの側にいたい理由は、私のためじゃない。貴方のためなの]
ブラックマンバは静かに眉間にしわを寄せる。
[...私、家族に先立たれて気付いたの。孤独は人の心に穴に開けてしまう。それを塞ぐには人が必要なの。だからー
[俺は孤独に負い目を感じていない。余計なお世話、という奴だ]
[今ははそう思っていても、いずれ思い知ることになるの!]
[十分思い知ってきた。その上での発言だ。]
[そういうあなたは私の側にいた。なのに突然居なくなって、どれほど辛い思いをしたか、理解できるっていうの?!]
[俺の側に近寄った者は!]
言い争いの末に静まり、裏路地に声の残響が響く。
[...誰もが巻き込まれ、側を離れた。]
ブラックマンバはそう言い残し、引き返してこの場を去ろうとした。
[...そんなの、私が許さない。]
フランの放った言葉を背にして一度立ち止まったが、少しすると再び歩みを進めた。