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表も裏も紙一重 #66 |
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ゴキラ |
5/19 22:8 |
政府の声明の翌日、大型トラックの中で揺られていたのは銃を持った防弾装備の10代〜20代の若者6人と、左腕の義手を甲殻類的な鋏の形に新調したシオマネキだった。
[...みんなそう固くなんなって、誰も死にやしないんだからよ]
耳に入る音が道路を駆けるタイヤの音のみになるほど張り詰めた空気を崩そうと、シオマネキが喋りかける。
[ほらそこの金髪で長い髪の君、ジャンケンでもしない?]
[...]
[あー...こんな腕じゃチョキしか出せないって思い込ませて右手でパー出す作戦バレちゃってた?]
シオマネキは一度車内を見渡すが、車内の6人は表情ひとつ変えず、目すら合わせなかった。
{...シオマネキ、変わりはない?}
[あぁ、変わらずやりにくいままだぜ...]
{減らず口を治すいい機会じゃない?}
[減らず口?おいおい、あんた俺のジョーク好きだろ?]
{聴いてるフリしてるだけよ}
無線は無情にも切られ、シオマネキはため息をついて減らず口を止めた。