センはツルハシを降り被る。
ツルハシは当たらなかったものの、ターキーはバランスを崩す。
その一瞬もセンは逃さず、ターキーをステージから突き落とす。
直ぐに鈍い音がした。
気がつくとセンは泣いていた。
静に、静にフローラを見つめていた。
人を殺したのは初めてだった。
しかも二人も一度に…そのことが頭を周り、手には感触だけが気持ち悪いぐらいに残っていた。
センは笑う。
何かがセンの中で崩れ、センはただただ、笑い続け、涙は枯れていた。
観客のいないステージは最高の舞台だった。
道化師は誰もいない客席に深々とお辞儀をし、笑みを浮かべて顔をあげる。
『今回のショーも最高だったな』センは呟いた。