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魔王様のお気持ちは#16 |
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ココアナ |
8/23 1:14 |
その声までもがあの友人に似ていて、思わず素で「大丈夫、」と答えてしまった。
「おい、魔王様よ、なんか戦いが出来そうな感じじゃねぇが、大丈夫か?」
真紅の目をした男が言った。
俺は慌てて首を振ると、勢いよく立ち上がり、両手を広げ無理に笑って見せた。
「フハハハ!心配させてすまなかったな!!勇者達よ!この世界を救いたければ、俺を倒してみせろ!」
いやだ、本当は戦いたくなんかない。
心の奥底で本音をポツリと呟く。
「…お前、本当に大丈夫か?んなに無理して笑わなくても…」
気だるげな目をした男がそう話しかけてくる。
あぁ、こういう全てお見通しな所も、優しい所もあいつらそっくりだ。
昔の友人の面影がチラチラと映るこの男たちと、俺は正直戦いたくなかった。
こんな気持ちははじめてだ。何時もなら無慈悲に相手を氷漬けに出来るのに。
「…そっちがやらないなら、俺から仕掛けるぞ」