「あれ？○○ちゃん、もしかしてそのチョコ…」

「うん、きっくんに…あげようかなぁって…えへ」

季節は２月。

北海道住みには厳しい時期だが、今日は珍しくポカポカと暖かい日差しが差していた。

しかしそんな日差しとは裏腹に、俺のハートは氷のように冷えきっている。

今日はバレンタイン。

周りの女子達はカラフルな袋を持ち、友達と楽しそうに話していた。

俺はといえば、そんな女子達を眩しく見ながらとぼとぼと一人で学校に向かっていた。

いつもなら三人の友達と一緒に登校しているのだが、今日は先に行っててと言ってある。

そう、そいつらは女子にモテるのだ。

特に四人の中で一番モテるきっくんなんかはチョコを貰いすぎて、「FB！お前手ぶらなら持つの手伝えよ！」と俺の傷を知ってか知らずかより抉ってくる。

あろま、えおえおも俺と歩いているとちょくちょくチョコを渡されており、俺の傷に塩を塗りまくっている。

…そういう俺はチョコを貰うどころか彼女も出来たことがない。

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