「...私が思うに、<生きる>っていうのは罰ゲームだと思うんだ。 この前私のお母さんが言っていたんだけどね、人間は魂と肉体に分かれていて、この体はただの入れ物なんだって。」
彩は赤子をあやすかのように優しく言葉を紡ぐ。
「<生きる>上で罰ゲームなんて本当にいくらでもあるんだよ。例えば怪我したときとか病気にかかった時とか痛いし苦しいでしょ?」
「うん。...じゃあこの肉体が無ければ痛いこととか味わわなくてもいいの?」
「そうだよ。それに生きる目的っていうのも、私達は神様から何一つ教えられていない。そして、死んだ後は全て<無>に還る。つまりはいうと、私達がやったこと、人助けとか愛想笑い、媚び、自分の社会的地位をあげるための社交辞令とか最終的には全てどうでもいいことなんだと思う。『鳴く兎は不幸の兎』って聞いたことある?」
「あるよ。本当は鳴かなくてもいいのに鳴いてしまうから、無意味な事をさせられているから不幸なんでしょ?」
「うん。それは人間にも当てはまると思うんだ。毎日毎日つまらない、意味のない事の繰り返し。それに気づいたから全てどうでもよくなって自殺したんじゃないかな?」