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隊長と死なない新参兵 #43 |
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ココアナ |
12/25 11:19 |
「…頑張って、忘れようとしてもな…忘れられねぇんだよ」
そう呟くと、きっくんはいきなり俺の肩をガッと勢いよく掴んだ。
驚いて顔を上げると、真剣なきっくんの顔が映った。
「えおえおはアホか!!忘れようとして過去から逃げるんじゃねぇ!お前は弟の存在まで無かった事にすんのか!?」
「そ、それは…」
「過去に起こった事は変えられねーんだから、今を!未来を見ろよ!!」
そこまできっくんは言うと、はーと長く息を吐いた。
辺りが白くなる。
「…話は変わるけどさ、今日寒いよな、雪降らねぇかなぁ…」
さっきの雰囲気は何処へ行ったのか、へらへらといつものような笑顔を浮かべるきっくん。
「きっくんもたまには良いこと言うのな」
「そりゃ、ジェネラルですからねぇ」
じゃあな、と軽く手を挙げて自室へと足を進める。
(過去から逃げるな…か)
部屋のドアを開けると、ギィと音が鳴った。
きっくんの言葉を心の中で思い出しながら、俺は再び布団の中へと潜り込んだのだった。