CHIBI QUEST 3

荊の姫(9)-邂逅の木漏れ日-
ごはんごパン

12/27 15:22

 手探りは意味を成さない。森は濃くなり、芽生えた一抹の不安に情熱の炎が陰る。何かおかしい。
 右手に握りしめた地図は今にも手汗で崩れそうだ。
 
…やっぱりだ、何かがおかしい。

―――音が、無い?

風の騒めきも、動物の喧騒もない。静寂が場を支配する。

不意に風が吹いた。それが運ぶのは青臭さのみではない。何か得体の知れないものが―――

「―――来るッ!」

 抜刀、降り向きざまに叩きつける。間合いには何もいない。けれど、その向こう

「せぇっ!」

 踏み込み、横に薙ぐ。背の高い草が一掃され、視界を舞った。手ごたえは感じられた、しかしその感触は肉でも鎧でもない。
 まるで水を断ったような違和感であった。

 背中に視線を感じる。相手方の動き出す気配はなく

「誰だ」

 誰何に応える声も無し。そして遠ざかり始める気配を

「待てッ!」

 追わない理由は無かった。





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