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小説『あの日見た群青は。』其の六 |
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蕾 |
6/6 22:24 |
「そんなこと本当に聞いてないよ!」
「瑞穂の言うとおりだよ!」
夏凛も反論するが、到底信じてもらえそうにない。
「いつまで嘘つくの?決まったことって言ってるじゃない。あたしたちが決めたわけじゃないし。」
「そうよ、注意してあげてんのに何その態度は?」
「決められたルールも守れないなんて、つくづく呆れた。」
「嘘つき、最低。」
ドスッ。
夏凛が突き飛ばされた。見れば、両肘から血が滲んでいる。
「罰として、今日掃除当番。よろしく。」
そう言い残し、赤音たちは校舎へ戻っていった。赤音は今週掃除当番だから、それを代われという事だろう。
ここが立ち入り禁止なんて、
いつ決まったんだ?
赤音たちが嘘を吐いていることも考えられるが、あの態度からすればその可能性は限りなく低い。
赤音達が口止めしたという事も考えたが、それなら涼華が伝えたはず、、
ん?涼華?
そういえば、先程までこちらに来ていた。という事は、保健委員長である涼華も知らなかったという事か?
「夏凛、とりあえず保健室行こう。」
「うん、ごめん。」
保健室なら涼華もいるはずだ。