夏祭りの日
「やっと来た!」
「やっと」ってなぁ…。
「俺は時間通りに来ただけだ。」
今日は夏祭りの日。俺は春佳、祐希と待ち合わせをしている。
祐希の姿が見当たらない。
「なあ、春佳。祐希は?」
「まだ来てないよ…あっ!来た来た!祐希ー!」
「待ったか?」
彼は祐希。勉強は得意だが運動は苦手。男のくせに。
「待った。」
「じ、時間通りに来たはずなんだが…」
祐希が困惑している。
たしかに。時間通りに来ただけだ。
「待ち合わせは三十分前から来るもんでしょ!」
早い。どう考えても早すぎる。
「ほ…ほう…。まあいいや。行くか!」
楽しい夏祭りがはじまった。
夏祭りも終わりに近くなった。
「いやー。楽しかったね!」
「そうだな。」
俺がそう答えた時、声がした。
おいで…
どこか聞き覚えのある声は、山の方から聞こえてきた。
俺は山の方へ走った。
「ち、ちょっと!竜也!」
春佳の呼びかけにも動じず、走り続けた。
本当は山になんて入りたくない。
なのに、体が勝手に山の方へ行く。
とうとう俺は、山の中に入ってしまった…。