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【小説】弱者よ、矛を持て 2-1 |
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ようそろ |
3/5 21:49 |
2.目の前の絶望
窓の外からの演説の声で今朝は目が覚めた。
声からして、首相のゲーミルの演説だろう。
そんな奴のスピーチで目が覚めるなんて最悪だ。
今日という日をとても楽しみにしていたぶんとても気分が落ち込む。
その楽しみにしていた理由と言うのが……。
「お兄ちゃん? 用意できた?」
心の中で噂をしていると、そいつはやって来た。
そう。今日はこの義妹のレインと出かけるのだ。
俺はすぐに行くと言うと、妹はコクリと頷き玄関の方へ向かった。
ドタドタドタ! と、物凄い勢いで階段を降りる音が聞こえる。
俺は急いで身支度を整える。
あのレインと出掛けられると思うと、今朝の憂鬱な気持ちは消えてしまっていた。