我が校には魔王様がいらっしゃる。

その名の通りの冷血無慈悲なる行いにして、血も涙もない鉄仮面。

俺自身が対象となったことは幸いというか、今のところないが、噂や実際の事件の顛末を耳にする限り、魔王の名を冠するに相応しい人となりだろう。

人あたりの良い笑顔の裏に隠し持つ、凶暴な本性。

学内の平和を乱す異分子を吊り上げる為に、どんな冷徹な判断、対応も淡々と執行する。

生徒会の権限として、執行する。
何故なら我が校の魔王様は、生徒会の頂点に君臨する生徒会長なのだから。

暦においては師走。
場所は雪真っ盛りの北の地にある、進学校。
絶対零度の魔王様と、俺と、彼等は出会った。

これから話すのは、ここだけの話だ。いわゆるオフレコ。
誰にも話さないで欲しい。
本当は俺だって、こんなにべらべら喋るわけには、いかないんだ。

でもまあ、そこらへんは問題なさそうだな。

俺が話したところで、いつものように、どうせ誰にも聞こえちゃいないんだから。

7/13 2:10