CHIBI QUEST 3 |
小説 | |||
金平糖 | 11/15 20:44 |
「東?朝ごはん持ってきたわよ。ここに置いておくから起きたら食べてね」 いつものように聞こえる母の声、しかしどこか寂しさを感じる。 起き上がろうと体に力を入れるが動く気配がない。開こうとした瞼も鉛のように重い。ピクリとも体が動かないのを感じて、今日もかと諦めていると再び眠りが襲ってきた。
|
金平糖 |
11/19 22:15 |
瞼の裏に広がる闇がいかに私が無力かを教えてくれる。 孤独で、泣きたくて、声を出そうにも声が出ることはない。 これが夢ならばと叶うはずのない願いを心の中で何度も繰り返す。周りから見れば、生きているはずなのに動かない私はまるで等身大の人形のように思えただろう。私はただひたすらに眠りから覚めるようにと願い続けた。
|
金平糖 |
11/19 22:23 |
その日、私が心の中で願い続けていたことが天に届いたのか、変化が起きた。「あれ?体が動く…」そう体が動いたのだ!目は見えるし、匂いを嗅ぐことも出来る。久しぶりのこの感覚に私は興奮していた。だが、動けることに喜んでいるとグゥ〜と腹がなった。長い間、何も食べずに眠っていたからだろう。私は母が朝においた冷めてしまったご飯を食べた。私にとって久しぶりのご飯、美味しいと感じないわけはないだろう。
|
金平糖 |
11/19 22:34 |
お腹が膨れた私は外の景色を見たいと思い、こっそり家から出た。久々の外はとても懐かしかった。以前と同じたったり、変わっていたりする街を見るのは間違い探しのようでとても楽しい。そこで私はせっかく体が動くんだから夜が明けるまでの間、街の中を散歩しようと思った。当たり前のように思っていたことがいざ当たり前ではなくなると当たり前であることの大切さがよく分かる。
|
金平糖 |
11/20 23:57 |
散歩をし続けて2時間程だろうか。相当な時間歩き続けて、疲れを感じ始めた私はベンチを求めて公園に向かった。公園にたどり着けるか不安に思いつつも足取りが遅くなることはなかった。「公園はこの辺りだったはず…」考えていたことが声に出てしまった。 前の私の記憶だとこの辺りに公園があったはずなのだが見つからないので、もう少しその周辺を探してみると、公園をやっと見つけることできた。
|
金平糖 |
11/21 0:7 |
やっと見つけたベンチに座ると、歩き続けた疲れからか体がベンチに固定されたように動くことが出来ない。しばらくの間そうして空を眺めていると、前から声をかけられた。「すいません、ここで何をしてらっしゃるのか聞きたいのですが宜しいでしょうか?」そう話しかけてきた人は警察官のような服装をしていてたが金髪で警察官のようには思えなかった。「えぇ、大丈夫ですがどうしました?」
|
金平糖 |
11/21 22:18 |
「実は最近ここで殺人事件が多発しているのですが何か知っていることはないでしょうか?」「すいません… 最近はずっと家にいたもので、何も分からないですね… お力になれずすいません。」「いえいえ、こちらもお時間を取らせてしまいすいません。もし、この時間帯に外を散歩するのでしたら気を付けてくださいね」「はい、お気遣いありがとうございます。」「それではまた。」そう言い、警察官の格好をした男は去っていった。
|
金平糖 |
11/21 22:27 |
私がベンチに座っている間、ずっとボーッとしていたらしく、夜が明けかけていた。私がそろそろ家に帰らないと心配されてしまうと思ったので、私は駆け足で家に帰り、ドアを開けると家の中は異様なほどに静かで物音一つしなかった。「お母さん〜?ただいま〜」私の口から発せられたその音は静かな室内に響きわたったが、返事は返ってこない。さっきの話を聞き、心配になった私は母の生存を確認しにいった。
|
金平糖 |
11/21 22:43 |
だか、母は見事に熟睡しているだけで何も問題はなかった。起こすのも悪いと思った私は自分の部屋に行き、そのままベットの上で横になった。長い間寝ていたからだろうか、少し散歩しただけで、私にはもの凄い疲労感が襲いかかってきていた。しかし、今の私にはそれに耐えられるだけの体力がなく、今度は自らの意思で眠りについた。
|
金平糖 |
11/21 22:48 |
「あぁ…よく寝た…」疲れていて結構な時間寝てしまっていたようだ、起きたときには外は暗くなってしまっていて、また夜がやってきていた。ベットの上で体を伸ばしていると、近くで良い匂いがするので昨日ご飯が置いてあった場所を見ると、やはりご飯が置いてあった。母には今は普通に起きていて動けることを教えていなかったので恐らくまだ動けていないと思ったのだろう。…昨日ご飯は食べきったのだが。
|
金平糖 |
11/22 20:46 |
ともかく、私は置かれたご飯を食べた。食べきった後の私は夜が明けるまでの間、このまま何もせずにいるのもつまらないと思い、今日もまた散歩に行くことにした。最近は肌寒くなってきているので、私は寒くならないようにと思い、ジャンバーを着た。外は少し寒くは感じるものの、少しの時間なら問題ないだろうと思って、ジャンバーのポケットに手を突っ込み、私は散歩を始めた。
|
金平糖 |
11/25 20:45 |
雲一つない空に光る星がいくつも見えた。一つ一つが輝きを見せる星たちは、衰えることを知らず、その輝きはいつまでも続くように思えた。一人で見る夜の空には私を惹き付けるほどの魅力があった。いつもは人の声が絶えず聞こえる街も夜になるとこんな別の一面を見せてくれる。だから私はこの街が好きだし、この街をずっと見ていたいとも思えるのだ。
|
金平糖 |
11/30 20:55 |
そうしてずっと歩いていると前から警察官の格好をした金髪の男が歩いてきた。「あら、また会いましたね。気分はどうですか?」「悪くないですね。夜の街を見てたらなんだが落ち着くんです。」「そうですか。いいですよね、私も好きなんですよ。夜に散歩するの。」「そうなんですか?じゃあ次も会っちゃうかもしれないですね。」「ですね。でも何回も会ったらそれはそれで怖いですけどね。」
|
金平糖 |
12/6 19:9 |
私は警察官の顔を見ながら会話していた。私は何故かその顔に見覚えがあった。私は昨日よりも前からこの人を知っている気がしたのだ。「あっ…」思い出した。この男は私が眠りにつく前に私をストーカーしていた男だ。それに気付いた瞬間私の体から突然汗がでてきた。早く会話を切り上げようと思った私は「話しすぎてもあれですしそろそろ終わりましょうか。」「そうですね、じゃあそれでは。」「…」
|
金平糖 |
12/6 20:12 |
私は男が見えなくなるまで離れたあと、家に向かって走った。息を切らしながらも家につき、開けた玄関も鍵を閉めた。ゆっくりと階段を上がり、自分の部屋についたあとベットの上で深呼吸をした。その間は数分の静寂が訪れた。しかし突然「東さん〜?大丈夫ですか〜?」そんな低い男の声が聞こえた。「この辺りで不審者の目撃情報があって来ました〜。」そんな訳ない。本当だったらこんなに早く警察が来るはずがない。
|
金平糖 |
12/6 20:27 |
私が街を散歩していたときは街のあの男以外いなかった。もしかしたら私が会わなかっただけかもしれないがそれにしてもおかしい。もし不審者がいたとしても明らかに家にくるのが速すぎるのだ。まるで別れた後に私のことを追いかけてきたかのようだ。「東さん〜?いますよね〜?」そんな男の声と一緒にドンドンと玄関を強く叩く音が聞こえる。「はっ、早く…何処かに隠れないと…」
|
金平糖 |
12/6 20:40 |
だんだんと玄関を叩く音が強くなっていくことに私は焦りを覚え始めていた。運が悪いことに私の部屋には隠れる場所がほとんどと言っていいほどない。私は男には見えないであろう位置にある部屋の窓を開け、ベットの下に隠れた。その間も続いた音もとうとう止んだかと思うと「ドンッ!」と激しく玄関にぶつかる音が聞こえた。それも何回も。そして遂には一階から玄関のドアが壊れる音が聞こえた。
|
金平糖 |
12/6 20:48 |
あの男がやってくる。その恐怖で呼吸が荒くなっていく。階段を上る音が聞こえる。荒くなっていく呼吸を落ち着けようと精一杯に深呼吸をした。足音は階段を上がりきったあと、真っ先に私の部屋に向かってきた。男は私の部屋に入って来たあと、一度立ち止まりそのあと部屋から出ていった。その音を聞いた私はゆっくりと息を吐いた。その時、「見〜つけた♡」と喜んだような
|
金平糖 |
12/6 21:1 |
気持ちの悪い声を出しながら男がベットの下に顔を覗かせていた。それに驚いた私は悲鳴をあげてしまった。男は右手にナイフを持ちながらニヤニヤと気持ちの悪い笑みを浮かべながら、私に話しかけてきた。「大丈夫だよ。前みたいに辛い思いはさせないからベットの下から出てきてくれないか?」と言った。流石にナイフを持っている相手の言うことを聞かないと何をされるか分からない。なので仕方なく私はベットの下から出た。
|
金平糖 |
12/6 21:11 |
「お母さんは無事なの。」「勿論だよ!流石に嫌われたくはないからね。」「なんで私を追いかけてくるの。」「心配だからだよ。見てないと誰かに取られるかもしれないでしょ?だからどうすれば取られないか考えたんだ。」嫌な予感がした。「こうすればいいって。」その時、私のお腹に鋭い痛みが襲った。「殺せば僕から離れたりしないって!」お腹を刺されたせいでそこから血が流れてくる。
|
金平糖 |
12/6 21:16 |
「あんまり傷付けたくないから抵抗しないでよ?」私は這いつくばりながらお母さんの部屋に向かう。「駄目でしょ?逃げたら。悲しくなるじゃん。」「おかあ…さん…」「お母さんにさよならは言えた?」それと同時に胸を鋭い痛みが襲った。私の体から出たとは思えない量の血が床を真っ赤に染め上げた。息が出来なくなり、視界が狭まっていく。「ふふっ、それじゃあおやすみ♡」
|
金平糖 |
12/6 21:24 |
また眠りがやってきた。 終わりのない眠りが私を襲ってくる。 だが、私は眠りに抵抗することすらできない。 私に出来るのはただただ襲ってくる眠りを受け止めることだ。 あぁ、また眠りが私を襲ってきた。
|
金平糖 |
12/6 21:24 |
完結しました〜
|
金平糖 |
12/6 21:25 |