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小説 彼のための世界#40 |
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鯨 |
3/15 19:4 |
「あるかもしれない」という表現に僕は違和感を覚えた。
「かもしれないって、どういうことだ?」
カイトも同じことを思ったらしい。
「いやー、言いにくいんだけどね…」
そう前置きしてモモは言う。
「私の実験の失敗で、怪物クラゲが増殖しちゃって…研究所が閉鎖されたの。結局解呪の薬の研究は頓挫、でももしかしたら研究所に試作品が残ってるかもって話」
「その研究所って、入れますか?」
「いや。もし入ったのがばれたら、然るべき罰が与えられる」
望みが絶たれた。リスクが大きすぎる。
「はぁ、難しいなぁ」
カイトがうなだれる。恩人のためとはいえ、罰は受けたくない。その時、
「大変だ!勇者様が、勇者様が!」
外から声が聞こえた。勇者?Euclid達に何かあったのだろうか。僕達は急いで外へ出た。