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[ge2 ss※百合注意]03 |
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入江 |
12/2 20:51 |
「その傷に...後悔のようなものは有りますか...?」
ただ悠然と空を見上げる君の横顔に訊ねた。君は己の左腕をさすり、私の方に向き直って腕を突きだし、こう言った。
「ここにあるのは勲章だ。 シエルには何の勲章かわかるかい?」
傷だらけの義手を突きだし、私にそう問い掛けてくる君の目は真剣そのもの。故に自然と表情も堅くなる。
「......いえ...わかりません...」
しかし、考えても私には分からなかった。あまりの緊張感に、額を汗がつたう。
それを見た君は腕を下げ、私に微笑んでみせた。
「これはね、仲間を守ったっていう勲章なんだ。 これも、ね」
君は眼帯に手をそえて言った。私は...私は...なんといっていいかわからず、言葉を探した。
「...!」
君が、君が私に抱きついている。
「言葉なんて繕わなくていい。
シエルの気持ちは伝わってるから」
目頭が熱い。ただただ熱い。頬を熱い雫が伝う。だが、それが心地よかった。そのあとも私は泣き続けた。
君は黙って側に居てくれて。
なんとなく、胸の奥が温かくなった。