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[ge2 ss※百合注意]05 |
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入江 |
12/2 22:10 |
あれから数ヶ月がたった。シエルとの距離感はだいぶ縮まった気がする。
そんなある日の事だ。いつかの日と同じように夜間任務に就いていた。
最近ここ、極東支部も冬にさしかかってきた。
「ハァ...今夜は寒いですね。 ですが、雲もなくて冷たい風が心地いいです」
月明かりに照らされたシエルはまるで人形のようで、その澄んだ声は氷雪のように冷たく、美しい。
「今日も月が綺麗だね」
月に手を翳し空を仰ぐ。
「...そうですね」
シエルは幾ばくかの間を開けてそう言った。続きを言うか言わないか迷っていると、シエルが口を開いた。
「空が晴れていると、月明かりが君の顔を良く照らしてくれますね」
微笑み、平然とそう言ってのけるシエルは、ゆっくりと私の方に歩いてくる。
「...君のこの傷は、私や仲間、そして大切な人を守ってきた証なんですよね?」
白く、今にも折れてしまいそうな細い指で、私の輪郭を撫でる。その指はやがて私の眼帯を外すのだろう。
「何度も何度も助けられて、数えきれないほどの“勲章”を、己の身に刻みこんで、それでも君は、誰かを助けるためにここに立っている...」