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小説 彼のための世界#46 |
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鯨 |
3/30 23:9 |
「で、何でお前らがここにいるんだ?」
うちゃこんが問う。
「だって一人でどっか行っちゃうんだからさ。跡をつけない訳にはいかないでしょ」
僕の隣に座るモモが言った。
ここはEuclidがいる病室。夜中にモモに起こされ、カイトや莉央らと共に来たわけだが、室内には包帯が巻かれたEuclidとなぜか疲れているうちゃこん、そして紐で縛られ眠っている見知らぬ女がいた。
「この人、誰ですか?」
莉央が女を見て尋ねる。
「俺も詳しくはわからん。こいつ曰く、俺に用があったみたいだが…」
Euclidはうちゃこんを指差し、言う。
「っても、確かではないけどな。これから本人に聞く」
うちゃこんが女の方に体を向ける。すると女の瞼が少し動き、ゆっくりと開いた。