|
|
小説 彼のための世界#48 |
|
鯨 |
4/3 22:20 |
「とにかく、何故今晩ここに来たのか、昼間俺たちを襲ったやつらと関係はあるのか、そしてそもそも誰なのか、教えろ。俺は聞き出す手段はいくらでも持ってる」
Euclidは女を見下ろし言った。女は彼を少しだけ見たが、直ぐに視線を落とす。
「ふぅ、しょうがないな…お前たち、外出てろ」
Euclidが僕たちを見ながら、手を振った。
「でも…」
「いいから。子供には少々、刺激が強い」
カイトの言葉を遮り、Euclidは冷たく言い放つ。彼の言わんとしていることは理解できた。これから拷問するのだろう。僕は正直見たくないため部屋を出ようとした。その時、
「部下への乱暴はやめてほしい」
声がした。いつの間にか、女の後ろに男がいた。
「あの人って…」
莉央が呟く。その男は昼間、図書館前で出会った人物だった。