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[ss]ヒット。(01) |
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入江 |
12/7 17:23 |
彼女は廃墟とかしたビルで胡座をかき、フィールドスコープ(地上望遠鏡)を覗き込んでいた。
冷たい風が肌を撫でる。寒さ暑さで値をあげるほどやわではない。
息を大きく吸い込むと、冷えた空気が鼻腔を満たした。
彼女は消え去った人類の生き残りの一人。戦いのなかで活路を見いだしてきた。
地上望遠鏡を覗いていた彼女は、ヤツらの姿を視認した。
“ブラーク”だ。ヤツらは突如としてこの世界に現れた人類の敵。今回狙うのはD級捕虜輸送型ブラーク、ネピアだ。
彼女は地上望遠鏡から離れ、アンチマテリアルライフルに手をかけた。スポッターがいないので、地上望遠鏡と第六級狙撃術式で脳と直接リンクを構築。
正確な狙撃を__無理矢理__可能にする。
全神経を研ぎ澄まし、 トリガーに指を掛ける。両目を開き、スコープ越しの敵を睨む。いくら強固なリンクを構築しても、最終的には自分の目が頼りだ。
殺意が最高点に達した時。トリガーを引く。
「ヒット」