ー白陣営ー
何かを忘れている気がする。でもその何かを思いだそうとすると、頭が痛い。だんだんと意識が曖昧になり、力が抜けて倒れる寸前までに迫った時、僕を呼ぶ声が聞こえた。その声は僕に近付いていき、僕の肩を掴んだ。
「ゆうと!!」
僕の名前を叫んでいたその人物は黄緑色のショートカットの…たいがだった。
「ゆうと!?いきなりどうしたの?人数が足りないとかなんとか言って…。」
たいがが手を離し、顔を覗きこんでくる。いくら男子とはいえ、見た目が女子っぽいので少しドキリとしてしまった。
「な、なんでもない。」
そう言い、土を払って立ち上がる。もみじが大丈夫?と目線で言いながら、話しかけてきた。
「リーダー、私あの魔方陣の人を斬ってくるよ。…っと言っても私は運ぶだけだけどさ。」
「誰を運ぶんだ?」
「勿論たいが。」
僕の質問に即答して続けて言う。
「私ね、こう見えて腕力と脚力凄いんだよ?あの魔方陣までの距離を見つからずに走る自信あるし!じゃあ借りてくね!」
「ん?お、おう。」
次の瞬間にはもみじとたいがの姿は見えなかった。耳にたいがの叫び声が聞こえた気がした。