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小説 彼のための世界#54 |
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鯨 |
4/16 23:3 |
突如光を放ち出したEuclidの鎌に、僕達は唖然とした。Euclidの体を支えているうちゃこんは、その光を顔に受け、眩しそうに目を細める。
「なんだ?」
黒服の男もこの状況に驚いているようだ。Euclidがゆっくりと立ち上がる。
「おい、あまり動くな」
うちゃこんが止めようとするが、彼はその手を振り払った。
「Euclid…さん?」
莉央は心配そうに声をかける。Euclidが鎌を構えた。するとより一層光が増す。
その瞬間、僕は奇妙な感覚に襲われた。まるでEuclidがこの世界の中心にいるような、この世界が彼のためにあるかのような、そんな気がした。それほどEuclidの姿は輝いていた。
「なぁ、うちゃこん」
Euclidが振り向いて言う。
「転生したら、また会おう」