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小説 彼のための世界#55、5 |
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鯨 |
5/2 23:27 |
Euclid死亡。この報せは瞬く間に国中に広がった。そしてそれは彼らの耳にも届いたのだった。
「Euclidさんが!?そんな…まさか」
ヲタクは激しく動揺した。
「嘘…」
フランは呆然としている。
「なんでも、素性の分からん連中にやられたらしいっぺな」
白髪混じりの老人が頭を掻きながら言う。老人の名はモサク。彼の住む村に転移魔法で飛ばされたヲタクとフランの世話をしている。
「早く、町に戻らないと」
「駄目駄目。あんたらそんな傷で戻れると思うちょるのかね。気持ちは分かんが、まだここにいなはれや」
立ち上がろうとするフランをモサクが止める。
「絶対に…敵をとる」
渋々座りこむフランがそう呟いたのをヲタクは聞き逃さなかった。