ーたいが・白ー
もみじが腕力と脚力に自信があると言い、僕をおぶって走り始めてから20秒もたたない内に巨大な魔方陣の近くまで来ていた。もはや、走っているのかどうかも疑いたくなる。そう考えていると、もみじが不意に口を開いた。
「私があの魔方陣の前に飛び出すから、たいがは私から手を放して斬って。私も斬るけど、私って弱くてさぁ…細かい攻撃を連続でしないといけないの。だからたいがは一発ドーーンってかましてやって!」
分かった、そう言いたいけど風圧で口が思うように動かせない。普通にしゃべっているもみじが不思議だ。もみじは僕の気持ちが分かったのかありがと、っと言ってもっと速度を上げた。その5秒後。
「いくよっ!」
もみじがかけ声と共に魔方陣を構えている女子二人の前に飛び込んだ。慌てて僕はもみじの肩から手を放し、素早く抜刀する。敵の女子達は目を丸くしながらも口を開く。
「防…」
「させるかっ!」
僕はそう言い、右斜め上から左斜め下に刀をふりおろす。もみじも剣を右に左にと動かす。