親が知り合いから買い取ったという一人で持つには大きいと感じていた一軒家の自宅に、差し出した手を握ってくれた女性を泊めることになった。
雨に濡れていて寒そうだったのでブランケットを渡したが、急に他人の家に来たせいで落ち着きがなく、まともに目線を合わせてくれなかった。
互いに一言も発せない空気のまま少し時間が絶ったが、話題を絞り出して話してみようとした。
[...急に降り始めて災難だったね]
ほんとうにありふれた、くだらない触れ込みだとは自分でも分かっている。対して女性は静かにうなずくだけだった。
[...初対面でこんな質問はよくないだろうけど...いくつ?俺は...21だけど]
好奇心と背徳感の狭間で少し聞くのを迷ったが、最終的には口にすることにした。
[...16。]
目を合わせないままそう返された。