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[ss]ヒット。(11) |
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入江 |
12/9 23:34 |
「で、君の名前は?」
冷たく、鋭い視線が私に突き刺さる。エカテリーナさんが時々みせる鋭い視線は、幾度となく修羅場を潜ってきた事が分かるそれ。
促された通りに答えた方が良さそうだ。私は覚えてる事を全て話す。
「私はアヤノコウジ ミライです、どうしてここに居るかは分からないですが...。」
知っていることを全て話そうとしたが、覚えている事の方が少なかった。
「とりあえず、お昼にしようか?」
エカテリーナさんはそういって別の部屋に行ってしまった。辺りを見渡す。グランドピアノ、硝子製の机、革張りのソファー、机の上には、その場に似つかわしくない拳銃。一体ここは...。
「できたよ、私は料理が得意ではなくてね__っと、気になるかい?」
机に料理を載せたトレイを置き、机の上の拳銃を慣れた手つきでクルクルと回し、レッグホルスターに突っ込んだ。
「さ、食べようか」
笑顔のエカテリーナさんは、スプーンとフォークを自分の手足のように扱い、料理を自分の口へと運ぶ。
私も料理を食べる。久しぶりのまともな食事は美味しかった。