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小説 彼のための世界#63 |
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鯨 |
7/3 22:58 |
「これは…ゴルかな?」
鯨が立ち上がり、馬車の扉を開け外へ出た。いつの間にか馬車は止まっている。めいも後へついていった。外では、ゴルが天を仰いで吠えていた。苦しんでいるようにも見える。
「どうしたんだい、急に」
鯨がゴルに近づく。
「うっ、うがぁぁああ!」
「あれは、街かな」
吠えるゴルをなだめながら、鯨は遠くを見ていた。めいも視線を向ける。遠くに光の群れがあった。恐らく昼間いた街だろう。すると、その光の群れから一際大きな、青白い光が現れた。それは一瞬で消えたが、めいの腕には鳥肌がたっていた。
「あの光…あれほどの魔力をだせるのは…勇者?でもなぜゴルが反応した?あいつがいるのか?」
鯨が呟きだす。めいはその内容を理解できなかった。