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[ss]ヒット。(14) |
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入江 |
12/10 14:40 |
シャーシャー、と刃を研ぐ音だけが部屋に響く。頭の中はミライの言葉でいっぱいだった。
『リーナさんは、なぜ私を家に?』
本当は分かっているし、似ていると自覚もしている。だが、認めたくはなかった。
ミライが__。
トントントンとドアが三回ノックされた。向こう側に声をかける。
「どうぞ」
研いでいたナイフを一体机に置いた。
「休憩でも、と思いまして...」
ミライはぎこちない笑顔でそうのべた。
「そう...だね。 休憩も必要だね」
痛い。胸が痛む。
私の中の何かが叫ぶ。
__いいのか?
私は、答えなかった。いや、答えられなかった。私自身、分からなくなってきた。
「そうそう、明日は出かけるから今日は早く寝なね?」
明日はちょっとした“お出かけ”だ。生き残った人たちが集う、通称“メトロ·スラム”にネピアの装甲と使用しない弾薬などを売りにいく。
メトロ·スラムには旧友もいるので楽しみだ。