「じゃ、早速はじめようぜ」
梶がライターと、油を入れたボトルを取り出した。
「あまり大きい声を出すな」
青山は注意する。青山と梶は、同じ仲介業者から依頼を請け負っているため、一緒に仕事をすることが多かった。そのため青山は、梶のいい加減な性格に辟易していた。
梶がボトルの中の油を壁にかける。そしてライターを灯し、
「梶が火事を起こす〜♪」
と口ずさんだ。
「何の歌だ」
「テーマソングだよ、梶様のテーマソング。お前もつくったらどうだ。青山が青い山に〜♪みたいな」
「遠慮して…」
青山が言い終わらないうちに、梶がライターを放り投げた。途端、壁が大きく燃え上がった。