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[連載小説]ヒット。(27) |
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入江 |
12/15 15:42 |
あれから約10分が経過した。いりくんだ下水道を歩った先には壁をくりぬいて作った階段があった。階段を上るとシックなドアが表れた。ドアには筆記体でアルカナと書かれていた。
リーナは三回ノックし、ドアを開けた。キィィ、と軋む。
「いらっしゃぁ〜い、って、カチューシャ〜?♪」
店の奥からおっとりとした女性が現れた。どうやらリーナとは仲が良いようだ。
「うぃー、アリス。 相変わらず元気みたいだ」
リーナは微笑み返してアリスの頭をクシャクシャと乱暴に撫でた。ニコニコ笑っていたアリスが私の事を視界に捉えた。
「oh? コノ子は誰? カチューシャがツレを連れて、というか誰かと二人で行動するなんて珍しい...」
満面の笑みを浮かべていたアリスの目つきが鋭くなるのが分かった。柔和な微笑みから、得物を見つけた猟犬のような顔に。ただ者ではない雰囲気が漂う。それこそリーナと同じような、いや、それとは違う、別種の恐ろしい何かがそこにいる。
「こら、ミライが怖がってる」
リーナがアリスをこずいた。「ごめん、ごめん」と言ってアリスは軽く詫びた。