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[連載小説]ヒット。(28) |
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入江 |
12/16 20:58 |
「で、カチューシャ。 コノ子は?」
アリスは私を指差し、リーナに訊ねた。私は指を差されたことに少し嫌悪感を抱いた。
「あぁ、言ってなかったっけ? この子はミライ。 日本人。 この前拾った」
最近はリーナ達が使う言語にも慣れ、少しずつ理解もできてきた。それに、多少は喋れるようにもなってきた。
「どうも」と、私からも挨拶したが、素っ気なく返されて終わった。どうにも私はアリスを好きにはなれない。
「へぇ〜日本? 言われてみればそれっぽい顔してるわね〜? ってことは私と同じか♪」
ニコニコ笑う独特のポーカーフェイスで話すアリスは、何を考えているのか、全くと言っていいほど分からない。苦手なタイプだ。
そういえば、とリーナが話題を変えた。
「ここ最近世界情勢に関して、なにか情報入ってる?」
この世界がどういう状況なのか分からない私にとって、今の状況を知るというのは大切な事だ。
「そうねぇ、あるにはあるんだけど...。どうにも信憑性が低くてね?」
前置きをしてから、続けた。
「...モスクワが墜ちたわ」