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[連載小説]ヒット。(33) |
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入江 |
12/19 20:7 |
その日の夜、アリスは夢を見た。古い夢だ。まだ日本の術式部隊として、活動していた頃の話。
アリスは一種の性格破綻者だった、所謂サディスト的な残忍な面があったのだ。
敵兵を必要以上に痛めつけ、なぶり殺す。しかも、愉しくて愉しくて堪らないという笑顔を溢しながら、だ。その異常性は上の人間の耳にも入っていたが、軍に所属する術式使いの中でも指折りの実力者だったので黙認されていた。
しかも、日常生活では隊員等に世話を焼く姿が見られており、良心的な所がみられた事もあり、隊内では陰口を叩かれるだけですんでいた。
そんなある日。ブラーク殲滅を命じられ、北方領土へと向かった第2○2術式分隊との連絡が途絶えたとの情報が入り、アリスの所属していた術式分隊が先鋒を兼ねた捜索隊として派遣されることになった。
北方領土は今現在もロシアが占領していたが、住民のほとんどはブラークに狩られた。
死の島と化した無人島にはとある噂が存在した。なんでも金髪の美女が北方領土へと侵入してきたブラークや他国の兵隊を狩るのだという。その証拠に、時々ブラークの死体が転がっているんだとか。