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[連載小説]ヒット。(34) |
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入江 |
12/19 21:16 |
フェアリーというコードネームは、派兵された隊員達が会話の中で使う愛称のようなものだったが、上に気に入られて、コードネームになったらしい。
消えた第2○2術式分隊とフェアリーの関係性は不明のままだ。
「見えてきたぞ。 ユジノ・クリリスクだ」
分隊長が前方に見えてきた町を指差し、言った。ユジノ・クリリスクはロシア名。日本名は、古釜布。
「あそこで消息が途絶えたのですか?」
メガネの隊員、ミカズキが丸眼鏡を拭きながら訊いた。アリスの分隊は全員で十名。男8名、女2名だ。全員がハチキュウ__89式5.56mm小銃__で武装していた。
ユジノ・クリリスクに入ったところで車を停め、後部の観音開きのハッチを開き、隊員等が勢いよく降りていく。
「私達の目的は第2○2術式分隊の捜索だ。状況に応じて救助に変更する。北方担当部署内では“フェアリー”というコードネームを持った女がいるという噂があるが、所詮は噂だ。きにするな。 これから私達は3グループに別れて行動する。