「てかさ、ヲタクども。
好きな人とかいないわけ?」
「「いない」」
「中学生なんて年頃なのに2次元に夢中とか・・・・はぁ」
「何その溜息ー。別にいいじゃん、2次元に旦那がいたって」
りぱが言う。ゆっくりは首を勢いよく上下に振った。
「少しは恥らいを持てヲタクども」
「じゃーあー!大福はいるわけ?好きな人」
「・・・・・・・・・あー・・・、いや」
りぱの問いに、歯切れ悪く曖昧に答える大福。
目は泳ぎまくっている。
「あーー!さては居ないんだなぁ!?好きな女子ー!!」
「声大きい!!!」
教室の視線を集めたのは、言うまでも無い。
***
その日の帰りは土砂降りだった。
でも、テレビで予報されていた通りだったので、念の為折り畳み傘を持っていって正解だったと、ゆっくりは思った。
大福とりぱは、さっきの分かれ道で別れ、1人でとぼとぼ帰っていた。
傘に、雨音が静かに響いた。
ふと、植木が目に入った。
大きな葉っぱの下に、芋虫がいた。