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「ゆっくりさん、手紙が来ています」
「え?」
朝早く、ベッドに寄りかかり本を読んでいると、看護婦さんが入って来て言った。
手には、私の大好きな水色の便箋があった。
「お母さんからです」
看護婦さんはそう言うと、にっこり笑って出て行ってしまった。
「アネモネー、当番交代よー」
「あ、はーい」
扉の近くで、看護士さんのやり取りが聞こえた。
そのぐらい静寂なこの空間。入院して1週間が経過した。
いつも見る風景は、対して変わらず。
空、海、森。
「・・・・・・・」
手に持っている手紙。
そこに書かれた二つの名前。
「りぱ 大福より
ゆっくりへ」