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[連載小説]ヒット。(35) |
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入江 |
12/20 23:13 |
車の後に現れたミカズキをフェアリーは待ち伏せていた。一瞬でミカズキの口を手で塞ぎ、車の左側__シライシの反対側__に引き寄せ、回り込んだ。そして、右手に握ったSOG シールパップM37Ecで6回、脇腹をテンポよく突き刺す。
「んっ”…ぶぅ”…」
ミカズキの両目から光が消え、フェアリーが手を離すと、膝から崩れ落ちた。肉の塊の出来上がり。
「ぉーい。 ミカズキ?」
クリーナーを取ってくるには遅い、と思ったシライシがミカズキの後を追うように後部ハッチへ向かった。ハッチは開け放たれていたが、中には誰もいない。
「これは…?」
ハッチの目の前にレンズの割れたメガネが落ちていた。拾い上げようと、腰を屈めた時だった。背後から物音が聞こえ、反社的に振り返った。
「っ!?」
次の瞬間。シライシの視界が180°反転し、背中を強かに打った。詰まるところ足技をかけられ、転倒させられたのだ。