「どうしたの?」
masa1014が問う。
「あ、ううん!
この花、すっごく綺麗だなぁーって」
「そうだね」
「ねぇmasa1014、海に行ってもいい?」
「うん。行ってきな」
「ありがとう!!」
ゆっくりはぺたぺたと裸足で駆け出した。
masa1014は追いかけず、ただその小さな背を見ていた。
また生ぬるい風が吹く。
右側の眼下には、小さな集落が見えた。
masa1014はそれを軽く視界に入れると、再びゆっくりを見た。
砂浜を走り回る彼女には、“あるもの”が欠けていた。
足元には、影が無かった。
ポケットを漁る。
中から出てきたのは、古びた紙と便箋。
そして、蝶の羽根だった。
また風が吹いた。今日は風が強い。
紙と便箋を飛ばされないとうに、しっかり握った。
もう、彼女には時間が残されていない。
masa1014は思った。