初夏の風が、白花を静かに靡かせた。
8月某日、りぱと大福は、遠く離れた田舎へお葬式に来ていた。
1番の親友だった、ゆっくりのお葬式だった。
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
このことが知らされてからは、2人はずっと無言のままだった。
りぱは静かに涙を流した。
大福は、何を思ったか、揺れている白花を一輪抜き取り、眺めた。
ゆっくりは、病室で亡くなっていた。
何かを書いていた最中で、手紙らしきものだった。
恐らく、2人に宛てたものだろう。
そう直感していた。
お通夜が終わり、翌日にはお葬式。
近くにある旅館に一泊することが決まり、集団は解散し自由行動ということになった。
2人は、両親に許可を貰い、海まで向かった。
心中とかそんなもんではない。
海の漣が、耳に軽く触れ心地いい。
そろそろ太陽も傾いていて、橙色に空中を染めていた。