崖の上まで移動し、水平線に消えてゆく太陽を見ていた。
橙色の一筋の光が、目に入って眩しい。
しばらくアベリアを見ていた大福は、ふと真下海を見た。
不自然に光が反射している。
何だと思い、もっと目を凝らす。
「・・・・何やってんの」
「何か沈んでる」
それだけの会話を交えると、りぱも海底に目を移す。
よく見ると、大福の言う通り、異様に光の反射が多かった。
「あ」
りぱが声を上げる。それと同時に、大福もその正体を理解した。
ガラス瓶が、1個漣から顔を出していた。
2人は崖から下りると、それが見えた方向へと走った。
その場に着いた時、やっと状況が理解できた。
無数の瓶が深海に沈んでいた。
大福が、近くに沈んでいる瓶を、海から取り出した。
中は茶色い紙が入っていた。
コルク状の蓋は、だいぶ風化して外せなくなっている。
けれど、2人はそっと瓶から太陽にへと視線を外した。
りぱは、静かに泣いた。
その背中を大福は優しく撫でた。
明日は、お葬式。
ゆっくりと、最後のお別れの日。