「あっ熱いっ、誰か、あぁ!」
顔中を炎に包まれた岸本晶は、その熱さに悶え、青山を押し退け家の奥へと走っていった。
「あ、待てっ」
「追わなくていいんじゃね。ありゃもう死ぬだろ」
先程まで岸本晶がいた所には、梶が立っていた。右手には小型の火炎放射器が握られている。
「にしても危なかったな。俺が来なかったら、お前、死んでたぞ」
「情報が漏れてた。それに、俺ひとりでも何とかなった」
青山が乱れた服を整えながら言う。その時、爆発音が聞こえた。家が少し揺れる。
「何だ?」
梶が辺りを見渡す。
「外からだ」
青山は嫌な予感がした。梶が玄関のドアを開ける。するとそこには、文字通り、火の海が広がっていた。